敷地は埼玉県志木市の住宅地。急な坂道を上りきった頂上部に、日当りの心地よい敷地が広がる。施主はアウトドアを趣味とするサラリーマンとその家族で、庭と一体となった雰囲気が楽しめる空間を自宅にも望まれた。計画にあたり課題となったのは、内から外に開けば、外からも内部が見通されるという当然の状況に対し、建物の内外の境界を如何にコントロールするかであった。
そこで、屋外との一体感を確保しつつプライバシーを保てる気持ちのよい空間を模索していった。
■開く場所、こもる場所
そこでまず、リビングを庭と一体となった「開く場所」として扱い、平面上なるべく大きく確保できる配置を探った。さらに必用となる所室を「こもる場所」としてその周囲に設えていき、南北に居室ボユームをもち、中央部が開いた建物の構成が導かれた。
■スロープ状の空間
隣地への配慮もあり南の屋根は低く押えたかった。そこで、北ボリュームとの間に発生する段差はスロープでつなげて、ワンルーム感を持たせながら高さ方向の境界を創っていった。同様の発想で、庭側の屋根を廊下の床と逆勾配に下げると、屋内には子供室と居間をつなぐ吹抜け空間が、寝室の前面には周囲からの視線を遮る芝屋根面が創り出せた。
■その先の地形へ
緑化屋根は、施工しても見たり触れたりできないのが常である。ここでは、芝面が近隣建物からの目隠しを兼ねてプライベートガーデンを創出している。また、白い塊により添いながら登って行く芝により、斜面頂上の延長線に新たなランドスケープをつくりだせればと考えた。 Pendii:伊)斜面(傾斜)の複数形
DATA:
所 在 地 :埼玉県志木市
用 途:専用住宅
施 工:(建築)ノムラ建工(株)
延床面積:133.75
構造規模:木造一部鉄骨造2階建て
竣 工:2006年
撮 影: