終日自宅で仕事をするデザイナーのご主人と会社勤めの奥さまとネコが暮らす家である。
夫婦の仕事の時間帯が異なるため、互いの生活リズムを邪魔しない生活動線と、
長居しても飽きのこない空間が求められた。
そこで、半屋外的な要素が差し込まれた回遊性のある空間であれば、複数の動線が確保できると共に、
屋内を散歩して楽しめるような家になるのではと考えた。
さらに、敷地内の果樹や生垣を伐採したり圧迫しないように、互いの位置関係を探りながら
建物の形と配置を模索した。結果、地面から浮いた箱が生垣を跨ぐような外観の建物になったが、
それが、この地の記憶と環境を継承した「古くて新しい風景」になったのではと思っている。
また、この建物は、季節毎の日射を調整する深い軒、太陽熱の温水利用、越屋根による通気と採光、
空気循環による暖房補助、などを備えており、パッシブな住環境の中で「快適な引きこもり」のできる家になっている。